2010年 12月 01日
映画一揆『土竜の祭』12/3まで 『土竜の祭』監督助手 松久育紀(再掲載) |
とにかくしんどかった、ということはハッキリと覚えている。
が、もう2年近く前の事で、何がどの日に起こったことかも曖昧で、
断片的な記憶を、思いつくがままに挙げていきながら当時を振り返ってみたいと思う。
芝川。
雨のせいで、午前中が丸々つぶれる。
順調に遅れる撮影スケジュール。
慣れない学生スタッフに対し、あちこちで聞こえるプロのスタッフの怒号。
僕もありとあらゆることで全方位から駄目出しをされる。
事実、駄目だったのでしょうがない。
埼玉のスーパーでの撮影。
監督が役者の役名を大声で間違える。
2時間くらい会議して決めた名前なのに。
同日。品川近くの事務所での撮影。
埼玉のスーパーから移動して、夜通しの撮影。
睡魔に絶えながらの撮影。役者のテンションも異様である。
そして、深夜に起きた監督と役者の怒鳴り合いの喧嘩。
しかし、何よりも覚えているのは、限界ギリギリの空腹の中食べたハッピーターンの味。
今までの人生で一番美味かった。
次の日、撮休のはずが、美術の準備のため次のロケ地に行くことに。
雪の舞う中、池袋の満喫で2時間寝た後、ロケ地へ向かう。
寒い中、美術の作りこみや翌日の撮影の場当たりをする。
埼玉の奥地、正丸峠1日目。
片道2時間をかけて行った埼玉の奥地で、寒さに震えながら何故か白い布で囲んで車の撮影。「都内でもできるじゃないか」と心の中で小さく呟く。
その夜、宿泊したビジネスホテルが23時で閉まるという事を知らず、危うく野宿しそうになる。
正丸峠2日目。
朝、現場へ役者と共に移動中、
同じ演出部の他のスタッフと見分けが付かないと言われ、少しへこむ。
この日は、クライマックスシーンの撮影。予定のカット数はかなり多い。
しかし、諸々の事情で撮影開始が遅れ、思うように消化できない。
カットごとにめまぐるしく変わるカメラポジション。
余計なものが映りこまない様に、機材や荷物をあっちへこっちへと運ぶ。
沈みゆく太陽との熾烈な戦いの結果、何とか最後のカットを撮り終えたが、
前日までに取り残したいくつかのシーンはそのまま。
全スタッフで相談の結果、後日追撮ということに。
追撮1日目。
撮影で使用する自転車のタイヤがパンク。
「何とかしろよ」と監督に怒られる。すみません。何とも出来ませんでした。
追撮前に新たにロケハンして見つけた場所での撮影。
マッドマックスに出てきそうな荒廃した野原。映画的な景色だ。
追撮2日目。三度、正丸峠へ。
撮影は大きなトラブルも無く、無事に終えるものの、役者の私物の靴を無くしてしまう大失態。
結局、見つからず弁償することに。ほたるさん、すみませんでした。
と、こうやって思い出してみると、自分の駄目さはともかくとして、
本当によく撮り終えられたものだと思う。
最終版はまだ観れていないのだが、編集段階で観た「土竜の祭」は、
現場の混乱した状況など全く伺えず、軽やかでコミカルでありながら、
どこか奇妙なところもある掴み所の無い不思議な映画になっていた。
そこから様々な手が加えられて一体どのような映画に仕上がったのか、
劇場で観るのが楽しみです。
『土竜の祭』上映は12/3まで 21:00~ ユーロスペースにて
が、もう2年近く前の事で、何がどの日に起こったことかも曖昧で、
断片的な記憶を、思いつくがままに挙げていきながら当時を振り返ってみたいと思う。
芝川。
雨のせいで、午前中が丸々つぶれる。
順調に遅れる撮影スケジュール。
慣れない学生スタッフに対し、あちこちで聞こえるプロのスタッフの怒号。
僕もありとあらゆることで全方位から駄目出しをされる。
事実、駄目だったのでしょうがない。
埼玉のスーパーでの撮影。
監督が役者の役名を大声で間違える。
2時間くらい会議して決めた名前なのに。
同日。品川近くの事務所での撮影。
埼玉のスーパーから移動して、夜通しの撮影。
睡魔に絶えながらの撮影。役者のテンションも異様である。
そして、深夜に起きた監督と役者の怒鳴り合いの喧嘩。
しかし、何よりも覚えているのは、限界ギリギリの空腹の中食べたハッピーターンの味。
今までの人生で一番美味かった。
次の日、撮休のはずが、美術の準備のため次のロケ地に行くことに。
雪の舞う中、池袋の満喫で2時間寝た後、ロケ地へ向かう。
寒い中、美術の作りこみや翌日の撮影の場当たりをする。
埼玉の奥地、正丸峠1日目。
片道2時間をかけて行った埼玉の奥地で、寒さに震えながら何故か白い布で囲んで車の撮影。「都内でもできるじゃないか」と心の中で小さく呟く。
その夜、宿泊したビジネスホテルが23時で閉まるという事を知らず、危うく野宿しそうになる。
正丸峠2日目。
朝、現場へ役者と共に移動中、
同じ演出部の他のスタッフと見分けが付かないと言われ、少しへこむ。
この日は、クライマックスシーンの撮影。予定のカット数はかなり多い。
しかし、諸々の事情で撮影開始が遅れ、思うように消化できない。
カットごとにめまぐるしく変わるカメラポジション。
余計なものが映りこまない様に、機材や荷物をあっちへこっちへと運ぶ。
沈みゆく太陽との熾烈な戦いの結果、何とか最後のカットを撮り終えたが、
前日までに取り残したいくつかのシーンはそのまま。
全スタッフで相談の結果、後日追撮ということに。
追撮1日目。
撮影で使用する自転車のタイヤがパンク。
「何とかしろよ」と監督に怒られる。すみません。何とも出来ませんでした。
追撮前に新たにロケハンして見つけた場所での撮影。
マッドマックスに出てきそうな荒廃した野原。映画的な景色だ。
追撮2日目。三度、正丸峠へ。
撮影は大きなトラブルも無く、無事に終えるものの、役者の私物の靴を無くしてしまう大失態。
結局、見つからず弁償することに。ほたるさん、すみませんでした。
と、こうやって思い出してみると、自分の駄目さはともかくとして、
本当によく撮り終えられたものだと思う。
最終版はまだ観れていないのだが、編集段階で観た「土竜の祭」は、
現場の混乱した状況など全く伺えず、軽やかでコミカルでありながら、
どこか奇妙なところもある掴み所の無い不思議な映画になっていた。
そこから様々な手が加えられて一体どのような映画に仕上がったのか、
劇場で観るのが楽しみです。
『土竜の祭』上映は12/3まで 21:00~ ユーロスペースにて
by eigaikki
| 2010-12-01 14:27