2011年 03月 01日
映画一揆 大阪電撃作戦は3/5から! “広島、横川シネマ” 「土竜の祭」「泥の惑星」制作部 冨永 威允 |
集合場所の車の中で吹雪の池袋をながめるでもなく、
「わし、何しに行くんじゃろ」
ぼんやりそんなことを考える。
スピリチュアルムービーズのおじさん達はもちろん、
後ろに座っている若者達も舞台挨拶という大役が待っている。
僕にはこれといっては何も仕事がない。
車に乗り込んで来た井土さんに「おお冨永、里帰りだな」
と声をかけられる。
確かにそうだし、その枠で誘って頂いたのだが、
観光案内を頼まれても日程的に原爆資料館しか思い浮かばなかったし、
広島にいたのも高校までで、
それ以来ほとんど帰っていないから気の利いたのみ屋も知らない。
広島に着いた日に行った店も横川シネマ支配人の溝口さんに教えて
もらった場所だった。
レバ刺しに和牛、カキの天ぷらなど色々頂いたけれども、
一番おいしかったのは小イワシの塩焼きだったというのがまたよ
かったのだが、
それはまた別の話。
翌日、最終回の「百年の絶唱」がはじまって、溝口さんが館内で少
し作業があるというので、
せめてもの店番のつもりでロビーのソファに座っていた。
他にそれをする人はいない。
溝口さんは12年間、横川シネマを一人できりもりしてきたのだ。
休みのない映画館を。
館内からははっきりと音がもれてくる。
高橋さんがPA卓を見付け、「百年の絶唱」は爆音での上映に
なっていた。
作業を終えた溝口さんが出て来て、吉岡さんと話し込む。
その声を聞きながら、でもここに来られて本当によかったと思う。
広島にはカープがあってサンフレッチェがあって、横川シネマがある。
空気が自由なのだ。
富岡さんと櫻井くんのときだったか千葉さんと上川原くんの時だったか、
舞台挨拶の司会をしていた溝口さんが急に明後日の方を向いて、
「ようこそいらっしゃいませー」
と呼びかけた。
なにが起こったのか分からずにいると、後ろから遅れて来たお客さ
んが入って来た。
それから、その日イレギュラーな時間にはじまった「百年の絶唱」
にも遅れて来たお客さんがいて、
最終回だったこともあって、そんな数人のお客さんのために、
前半部だけ、渋谷に続き広島でも異例の二回上映があったのだ。
独立した自由な空間、「アジール」、そんな言葉がふさわしい場所
だった。
そして横川という土地が、いかにもアジールと呼ぶにふさわしい場
所なのじゃないか。
そんなことも考えていた。
横川駅の東側、広島駅は言うまでもなく、
西側の西広島駅も宮島をはじめ西部の玄関口としてよく利用される駅だ。
名前は知っているけれど、以外と横川駅って最寄りでもないかぎり
なじみはうすい。
広島駅と西広島駅、そして繁華街をむすんだラインからも外れた、
太田川が七つに分かれていく根っこの中州に、横川はある。
すぐ近くに人は集まっているのに、
なぜだかよくわからない場所。
中世から一揆に集まった人々はある者は蓑笠をかぶり、ある者は覆
面をし、ある者は柿色の衣服を身に着けた。
それはいはゆる中央の支配から自由な、
身分制度におさまらない職能、芸能を持つ異形の人々の衣服だった。
生と死を行き来できるともされていた人々。
異世界を行き来できるともされていた人々。
その力にあやかろうとして、一揆の民衆は仮装して、戦った。
得体の知れないパワーを持った人々、そんな人々が暮らしていたの
が支配のゆきとどかない自由な空間=アジールだった。
妄想でしかなかったけれど、
映画一揆拡散上映がそんな場所ではじまったこと、そしてその場に
居合わせることができたこと。
それまでのもやもやした気持ちが嘘みたいにわくわくして、頭を冷
やしに外に出た。
爆音上映の音は路上にまでもれだしていた。
追記
びっくりしたのは、それまで溝口さんと快調に会話していた吉岡さ
んの声が、
「百年の絶唱」が終わった途端に出なくなった。
一方でずっとアバラが痛い痛いと言っていた高橋さんのアバラの痛
みはそれからだんだんとひいていった。
なんかオカルトっぽくなるけど、
そんなこともあった。
いよいよ今週末! 映画一揆 井土紀州2011inOSAKA 大阪電撃作戦
詳しいスケジュールは→http://www.cinenouveau.com/image/eigaikki.jpg
大阪九条シネ・ヌーヴォXにて 3/5(土)~3/18(金)まで
http://www.cinenouveau.com/
※3/12(土)ヌーヴォXにて、監督トークショー開催予定!
引き続きPLANET+1(中崎町)にて 3/18(金)~3/24(木)まで
http://www.planetplusone.com/
映画一揆 井土紀州2011 名古屋ええじゃないか!
名古屋シネマテークにて開催決定!
http://cineaste.jp/
映画一揆 井土紀州2011 in 高崎
シネマテークたかさきにて開催決定!!!
http://takasaki-cc.jp/top
「わし、何しに行くんじゃろ」
ぼんやりそんなことを考える。
スピリチュアルムービーズのおじさん達はもちろん、
後ろに座っている若者達も舞台挨拶という大役が待っている。
僕にはこれといっては何も仕事がない。
車に乗り込んで来た井土さんに「おお冨永、里帰りだな」
と声をかけられる。
確かにそうだし、その枠で誘って頂いたのだが、
観光案内を頼まれても日程的に原爆資料館しか思い浮かばなかったし、
広島にいたのも高校までで、
それ以来ほとんど帰っていないから気の利いたのみ屋も知らない。
広島に着いた日に行った店も横川シネマ支配人の溝口さんに教えて
もらった場所だった。
レバ刺しに和牛、カキの天ぷらなど色々頂いたけれども、
一番おいしかったのは小イワシの塩焼きだったというのがまたよ
かったのだが、
それはまた別の話。
翌日、最終回の「百年の絶唱」がはじまって、溝口さんが館内で少
し作業があるというので、
せめてもの店番のつもりでロビーのソファに座っていた。
他にそれをする人はいない。
溝口さんは12年間、横川シネマを一人できりもりしてきたのだ。
休みのない映画館を。
館内からははっきりと音がもれてくる。
高橋さんがPA卓を見付け、「百年の絶唱」は爆音での上映に
なっていた。
作業を終えた溝口さんが出て来て、吉岡さんと話し込む。
その声を聞きながら、でもここに来られて本当によかったと思う。
広島にはカープがあってサンフレッチェがあって、横川シネマがある。
空気が自由なのだ。
富岡さんと櫻井くんのときだったか千葉さんと上川原くんの時だったか、
舞台挨拶の司会をしていた溝口さんが急に明後日の方を向いて、
「ようこそいらっしゃいませー」
と呼びかけた。
なにが起こったのか分からずにいると、後ろから遅れて来たお客さ
んが入って来た。
それから、その日イレギュラーな時間にはじまった「百年の絶唱」
にも遅れて来たお客さんがいて、
最終回だったこともあって、そんな数人のお客さんのために、
前半部だけ、渋谷に続き広島でも異例の二回上映があったのだ。
独立した自由な空間、「アジール」、そんな言葉がふさわしい場所
だった。
そして横川という土地が、いかにもアジールと呼ぶにふさわしい場
所なのじゃないか。
そんなことも考えていた。
横川駅の東側、広島駅は言うまでもなく、
西側の西広島駅も宮島をはじめ西部の玄関口としてよく利用される駅だ。
名前は知っているけれど、以外と横川駅って最寄りでもないかぎり
なじみはうすい。
広島駅と西広島駅、そして繁華街をむすんだラインからも外れた、
太田川が七つに分かれていく根っこの中州に、横川はある。
すぐ近くに人は集まっているのに、
なぜだかよくわからない場所。
中世から一揆に集まった人々はある者は蓑笠をかぶり、ある者は覆
面をし、ある者は柿色の衣服を身に着けた。
それはいはゆる中央の支配から自由な、
身分制度におさまらない職能、芸能を持つ異形の人々の衣服だった。
生と死を行き来できるともされていた人々。
異世界を行き来できるともされていた人々。
その力にあやかろうとして、一揆の民衆は仮装して、戦った。
得体の知れないパワーを持った人々、そんな人々が暮らしていたの
が支配のゆきとどかない自由な空間=アジールだった。
妄想でしかなかったけれど、
映画一揆拡散上映がそんな場所ではじまったこと、そしてその場に
居合わせることができたこと。
それまでのもやもやした気持ちが嘘みたいにわくわくして、頭を冷
やしに外に出た。
爆音上映の音は路上にまでもれだしていた。
追記
びっくりしたのは、それまで溝口さんと快調に会話していた吉岡さ
んの声が、
「百年の絶唱」が終わった途端に出なくなった。
一方でずっとアバラが痛い痛いと言っていた高橋さんのアバラの痛
みはそれからだんだんとひいていった。
なんかオカルトっぽくなるけど、
そんなこともあった。
いよいよ今週末! 映画一揆 井土紀州2011inOSAKA 大阪電撃作戦
詳しいスケジュールは→http://www.cinenouveau.com/image/eigaikki.jpg
大阪九条シネ・ヌーヴォXにて 3/5(土)~3/18(金)まで
http://www.cinenouveau.com/
※3/12(土)ヌーヴォXにて、監督トークショー開催予定!
引き続きPLANET+1(中崎町)にて 3/18(金)~3/24(木)まで
http://www.planetplusone.com/
映画一揆 井土紀州2011 名古屋ええじゃないか!
名古屋シネマテークにて開催決定!
http://cineaste.jp/
映画一揆 井土紀州2011 in 高崎
シネマテークたかさきにて開催決定!!!
http://takasaki-cc.jp/top
by eigaikki
| 2011-03-01 12:08